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第98号 2005/10/21 人間の記憶は曖昧ね
先日親類が私の実家に里帰りしたとき、奥さんが出産準備で実家に帰っているからあんまり美味しいものを食べていないだろうと夕食に招待してもらいました。その折に親父が「懐かしやろ。」と言いながらおじいちゃんの葬式の写真を出してきました。
当時私は小学校二年生、7歳くらいですか、さすがに7歳の頃でもこれほどインパクトのあった儀式の記憶はあやふやなはずが無いと思ってたのですが、実はとんでもない思い違いをしていました。
当時私の育った地区ではまだ土葬が一般的で、お墓まで棺を担いで長い行列をする慣わしだったのですが、私にはその行列をおじいちゃんの家の庭から眺めている映像が記憶としてはっきり残っていました。
だから親父から、その行列の先頭を親族の子供達が手に手に何か持って歩く写真を指して「これお前やな。」と言われた時も「俺は庭から見よったさけ行ってないよ。」と言い切りました。親父も負けじと、「これ見てん。お前やって。調子ん乗りのお前が行ってないはずないやろが。」と写真を突きつけてきましたが、最近ちょっと老眼が進んでいる私はその小さな子供達の顔から7歳の自分の顔を見つけられず、おまけに恐ろしくはっきりと記憶にある庭先から見た行列の風景を信じて疑う余地もないわけで、鑑定はコンピュータ分析に委ねられることとなりました。
家に持ち帰った写真を早速スキャンして、モニタいっぱいに引き伸ばされた子供の群れの中には、はっきりと私がおりました。それも笑顔で。
あんなに鮮明なニセの記憶は一体どこで作られるのでせう。
(弓庭規生)
(2005年10月21日発行ツーカイネットスクラム第98号 掲載)
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